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2020年8月 1日 (土)

【私の武術慢歩】 上海での訓練

 上海到着の10月16日を初日とすると、上海二日目の17日から八日目の23日までは午前午後のどちらかを訓練に当て、もう片方を参観に当てるというスケジュールで、24日午前に帰国の途に就く。

 

 朝はだいたい6時ごろから黄浦公園などで練習をした。周元竜老師が八十八式太極拳や圧腿を指導してくださったりした。

 圧腿は、片足を台にのせて水平ぐらいにしてストレッチする。大腿・下腿の前面、後面、外側、内側と四方向を伸ばすやり方を教えてもらった。

 

 体育館での半日の訓練は、主に八十八式太極拳、三十二式太極剣、推手を練習する。小島さんは長拳基本功を中心の練習で、体力的に大変そうだった。

 

 私は丁金友老師に、みっちり指導していただく。

 八十八式太極拳は、上海の老師の方々全般に北京と雰囲気や細かいところに違いがあり、時に戸惑うこともあった。

 

 丁金友老師の動きは、脚からの力が腰の低く粘るような回転によって肩、腕、手へと、波打つように伝わっていくのが分かる。言葉が通じないので、何度も繰り返し動作を示してくださるのが、ありがたくも申し訳ない気持ちになる。

 丁金友老師からの注意は以下のようなものだった。

  • 鬆肩沈肘
  • 主宰於腰
  • 虚領頂勁
  • 上下相随
  • 気沈丹田

 知識として知ってはいてもどう体現するかは難しく、実際の動きや姿勢で指導していただけたのは貴重な体験であった。

 

 丁金友老師は、剣がかなり得意(好き)のように見うけられる。太極剣の要領として、腰(腹)の回転移動と、視線の方向が大事で、これらは太極拳動作と同じ要領であると教わった。「腰帯剣(即一動百動)であり、発於腿、主宰於腰、開於手指」であると。

 七日目には丁老師に私の太極剣を「好!」と言っていただけたのは嬉しいことだった。

 

 何日目だったか、練習の合間にベンチで休んでいると、丁老師がすぐ隣に腰かけてきた。何だろうと思う間もなく、発勁講座が始まった。

 ピッタリ体を寄せたところから丁老師が肩や肘、腰で発勁すると、私の体がポンと横に飛ぶ。いわゆる靠と言うことなのだろう。距離が無いので寸勁と言っても良いのかもしれない。

 私も真似してやってみるが、なかなかうまく勁が伝わらない。何度もやっていただき、ひとしきり試させていただいても、十分の一もできたかどうか。

 

 ここで北京と上海との違いを考え付いたのだが、北京では「太極拳は技撃(武術)ではありません」と明言されていたし、公園でやっている太極拳も制定拳しか見られなかった。老師方の表演も制定拳だけで、集体表演も教科書のように皆ピッタリと揃う。発勁など口にです感じではなく、推手でも飛ばされることなどなかった。

 しかしそれが上海では、老師方の伝統太極拳も拝見できたし、公園ではいろいろな武術や気功のようなものが見られた。もっとも公園引率の周元龍老師(前回まで周元竜老師と書いていたが、日本では周元龍老師と書くのが普通のようなので合わせることにする。もちろん中国では簡体字なのだから問題にならない)は「あれは本物ではありません」と言ってはいたが。

 周元龍老師がホテルに来てくれてロビーで推手の相手をしていただいたが、何度か回した後にポンと飛ばして後ろの太い柱にピタンとたたきつけるぐらいのことはしていた。丁老師の発勁講座しかりである。

 何というか、上海の方が伝統武術的な雰囲気というか味が漏れ出している感じがあった。

 余談だが、後に日本太極拳協会では周元龍老師の陳式太極拳が人気で、8mmフィルムでの学習会ができたりした。

 

 推手では傅鍾文老師に相手をしていただいたことが、印象深く記憶に焼き付いている。柔らかく包み込まれるようで、完全にコントロールされていると感じる。そういうところは劉晩蒼老師に似ているようでもあるが、触れた感覚が違って、その違いはなんとも表現しにくいものがある。ただ達人と言われる老師方の共通点は、こちらがコントロールされつつも気持ちが良いということかと思う。

 傅鍾文老師の推手は、沈身ではあるが重くない(鈍重でない)、動作は軽快であるが浮き上がらない、という楊澄甫老師の教えを体現しているようであった。これももちろん今思い返してのことで、当時はそんなことも知らなかったのだが。

 

 朝練、体育館での訓練の他、参観や遊覧の合間に剣や八十八式を練習したりもした。北京でも上海でも老師方の示範演武を8mmフィルムに収めることもでき、今回の訪中の首尾としては、まあまあ満足できるものになったのではなかろうか。

 

 次回は上海での参観や遊覧を紹介しよう。

 

 

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