基礎知識・理論

2021年1月23日 (土)

【基礎知識・理論】陰陽と三才

混沌(無極)から一気が生まれ太極と名づけられました。太極は陰陽の両面を持ち(あるいは陰陽に分かれ)ます。これが易で言う両儀です。軽い陽気は上にのぼって天となり、重い陰気は下って地となりました。両儀の実象は天と地ということです。天と地の気が交わって人ができます。人の他、万物が生成されますが、それらを統べるものとして人があり、あわせて天地人の三才と称します。三才は三体ともいい、三体式の名はここからきています。三才式とも言います。

三体式において、天は頭、人は手、地は足が相当します。
また宇宙を表すのに、九宮図、九星図を用いることがあります。これは3×3の魔方陣で、別稿で解説します。
三体式では、腰、肩、跨が根節、背、肘、膝が中節、頭、手、足が梢節として、九宮に対応しています。

三体式は形意拳の基本的な鍛錬法です。天地人が大宇宙とすれば、三体式は人体が宇宙を模した小宇宙です。天地人の三才が宇宙の基本、森羅万象の始まりであるように、形意拳のあらゆる形(姿勢・動作)は三体式から生まれます。内勁もここから生まれます。
孫家拳では太極拳、八卦拳でも三体式は基本となっています。

万物はすべて陰陽の気によって成り立っています。言い方を変えると、万物には必ず陰陽の両側面があることになります。事物の陰陽の対立、消長(陰が盛んになると陽が衰え、陽が盛んになると陰が衰える)、転化(陰が極まれば陽に変わり、陽が極まれば陰に変わる)により、この世が成り立っている、という考えが「陰陽説」です。
はじめ、私は陰陽説を集大成したのが「易」(易経、周易)かと思っていたのですが、実は「易」が先にあり、それが民間に流布して一般化したものが陰陽説ということのようです。

                                                          2006.11.15「小狐は尾を濡らすか」

2021年1月14日 (木)

【基礎知識・理論】太極拳と陰陽と中和

以前、「小狐は尾を濡らすか」と言うブログをやっており、その後短期間「かかとでこきゅう」と言うブログを経て、現在の「孫家拳の広場」に引き継ぎました。

前の二つのブログはアカウントを解約したため、公式には見られません。「小狐・・・」は幸い残像を見ることができますが、「かかとで・・・」は見ることができません。

記事のいくつかを「孫家拳の広場」に再掲してはどうかと言う提案がありましたので、「小狐・・・」の方は一部加筆したうえで再掲したいと思います。
「かかとで・・・」の方は残念ながら残像もバックアップもないため復元できません。私の記憶にあるものは書いてみたいと思います。記事の記憶が少しでもある方は「こういうの書いていたんじゃない?」ぐらいで構いませんので、お知らせください。

再掲記事は初出を「小狐は尾を濡らすか」「かかとでこきゅう」のように文の最後に示したいと思います。
何もなければ新規に書いたものと思ってください。

では始めましょう。

☆☆☆


中国武術をやっていると、いろいろ中国古代思想にもとづく言葉が出てきます。まったく知らなくても武術ができないわけではないでしょうが、ある程度知っていたほうが練度が深まることもあるかもしれません。少しずつ解説していきます。

宇宙がまだ存在せず混沌としているとき、一気が生じ、一気は陰陽に分かれ、陰陽が交感し万物が生まれました。この一気を「太極」と呼び、太極は宇宙の根源、万物の母と言えます。

太極から陰陽が生じこれを「両義」と言います。陰と陽それぞれが更に陰陽に分かれ「四象」となり、また更に陰陽に分かれて「八卦」となります。
時間軸でみれば宇宙の生成はこのようになっているわけですが、これを状態としてみれば、森羅万象すべてに陰陽があり、そのすべての状態・性質を太極は内包していることになります。

八卦については、また別稿でお話しします。

陽は「ひなた」、陰は「ひかげ」を表します。物事の一見すると対立する側面で、陽は明るい、軽い、暖かい、昼、男、上など、陰は重い、暗い、夜、女、下など。太陽はお日様、太陰はお月様です。

陰陽は対立する概念ですが、片方だけで存在できるものではなく、物事には必ず陰陽の両面があり、どちらが多いか少ないか、勢いが盛んか衰えているかなどによって、性質が違ってくるわけです。

また物事を細かく分解・分析していっても、更にその中に陰と陽があるわけで、純粋な陽(純陽)や純粋な陰(純陰)は、理論上は存在するが現実には存在しません。

東洋医学など一般的には、体の背側を陽、腹側を陰としています。手の甲が陽、手のひらが陰です。これは人間も動物としてみたとき、四足にして日が当たる方を陽、日陰になる方を陰としたものです。中国武術の多くの拳種・流派もこれを踏襲しているところは多いと思います。

孫家拳では逆に、腹側を陽、背側を陰としています。手のひらが陽、手の甲が陰です。不勉強で明確に記述してあるのを見たことはありませんが、相手に対したときに、相手に向く側を陽としたのではないかと思います。これは単に決め事なので、あまり気にすることはありませんが、ちょっと頭の片隅に置いておいてください。

武術の中で陰陽を考えると、例えば剛は陽、柔は陰などと分かれます。動静、内外、上下なども陰陽と見ることができます。柔あっての剛、剛あっての柔、どちらかだけでは働きません。これら陰陽の働きのバランスが取れている状態が大切です。

孫祿堂先生は武術において「中和」が重要としました。陰と陽が拮抗して相手を牽制しあうのではなく、それぞれが充分に働いて助け合いつつバランスをとっている状態を「中和」というのだと思います。
また中国では精神を「内」、身体を「外」とするのが普通で、精神と身体の調和・バランスが大事で、両方を高めていかなければならないということです。

太極拳は陰陽の武術です。気の武術と言っても良いでしょう。陰陽交感して変幻自在、なおかつ中和を求める武術なのです。

                               2006.10.31「小狐は尾を濡らすか」に加筆




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